Q:私は勤続20年で勤務先を退職します、勤続10年目で役員に登用された関係で、その時点で従業員としての退職金100万円を受給しました、その後役員として10年勤続し、退職金を600万円受給する予定です、今回の退職金に税金はかかりますか
A:退職所得の計算につきましては、短期退職手当等の概念や特定役員退職手当等の概念が導入され、さらには、確定拠出年金等からの一時金受給時の退職所得控除額の計算特例も加わり、難解で複雑化しており、ご質問への回答にも四苦八苦いたします。回答に際し、まず、この事例での勤続年数の意義を確認しますと、所得税法30③及び同施行令69①ハに該当し、ここでは、勤続年数は勤続期間により計算することとされており、勤続期間=”退職所得者”が退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間(令69①)となります。「基因」という以上は、退職金規定等により、始点は、入社日なのか、試用期間終了後なのか、終点は、退職日なのか、退職日直近の誕生日なのか、そうしたことが明示された上で、実務上の支障が生じないように画一的、確定的な金額算定方法が規定されている必要がありそうですし、あなたの勤続10年目の退職金が従業員退職金規定で算定され、一方、役員としての退職金が役員退職金規定で算定されたものならば、令69①ハに規定される通り、前に支払いを受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間の末日以前の期間は、勤続期間に含まれないものとして計算を行うものとなるため、今回の勤続年数は10年、退職所得控除額は400万円となり、税金の負担が生じるものと思われます。
参考までに、令69①ハ”ただし”書きを紹介しておきます。
退職金の支払者がその退職手当等の支払金額の計算の基礎とする期間のうちに、当該前に支払いを受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間を含めて計算する場合には、当該期間は、これらの期間に含まれるものとしてこれらの計算を行うものとする
だそうです…今さら、無意味な話ではありますが、役員昇格時に退職金を受け取らず、今回正味勤続20年で退職金の受給をするものとして、その計算方法が、従業員勤続期間10年対応部分100万円+役員勤続期間10年対応部分600万円=700万円などのように明示的に支払者側で計算されるものならば、退職所得控除800万円で、税金の負担は生じないということになりそうです。当たり前ですかね(笑)